ツシマヤマネコの生息状況は依然として明確に改善しているとは言いがたく、また、その生息地は対馬のみに限られることから、今後、野生個体が増加し、対馬島内における分布域が拡大しても、野生個体群の絶滅のおそれが完全になくなることはないため、必要に応じて飼育下で繁殖した個体を野生復帰させることが可能となるような技術開発及び体制づくりを目的とした野生復帰技術開発が必要とされています。
ツシマヤマネコ野生順化ステーション(以下、ステーション)では、第1次ツシマヤマネコ野生復帰技術開発計画に基づき、2016年にイエネコを2頭導入し、2017年に初めてツシマヤマネコを導入して以降、毎年0~2頭程度のツシマヤマネコについて野生順化訓練を実施しています(2024年4月現在、訓練実施8個体)。これまでの訓練結果の知見を基に、2023年3月に野生順化訓練マニュアルを作成し、次のステップとして第2次ツシマヤマネコ野生復帰技術開発計画を策定しました。
また、ステーションの特徴である広大なケージを活用した、生息域内保全や生息域外保全に活きる知見収集の取組みも進めています。加えて、保護したツシマヤマネコを放獣する際の訓練施設としての活用も検討しています。
野生復帰技術開発(野生順化訓練について)
野生下で生存できる能力を引き出すための訓練として以下のようなことを行っております。
- 棲みやすい場所を選ぶ
- 人との距離を保つ
- 生きた野生生物を捕まえる
- 危険を避ける